これまでこのサイトで書いてきた記事は、ほとんどが「付き合うまで」の話でした。プロフィール、最初のメッセージ、デート、告白のタイミング。営業でいえば、見込み客を見つけてクロージングするところまでです。
でも、営業の仕事は契約が取れたら終わりではありません。むしろそこからが本番です。今日は、契約後にやってきた「フォローコール」という仕組みを、付き合い始めてからの関係に応用する話を書きます。
契約後1週間以内、必ずフォローコール
以前担当していたB2Cの営業では、契約をいただいたら、1週間以内に必ずフォローコールをする、というルールを徹底していました。例外はほとんどありませんでした。
電話の中身は、契約後に出てくる疑問点を聞いたり、何か不備があればその場で解消したり。ただ確認するだけでなく、「あの時こう仰っていたことは、忘れていません。よく覚えていますよ」ということを、あわせて伝えるようにしていました。
これをやると、お客様の反応が変わります。「え、こんなに親身になって動いてくれるんだ」という特別感が伝わります。契約した瞬間から放置されるのと、1週間以内に必ず連絡が来るのとでは、その後の信頼のでき方がまったく違います。
恋愛にも、同じ「フォロー」が必要です
このサイトの記事では、これまで「営業のクロージング=告白・交際のスタート」という置き換えを何度も書いてきました。でも、営業の世界には、クロージングの先にフォローがあります。恋愛でも同じはずです。付き合い始めたら終わりではなく、そこから関係を続けるための最初の動きがあります。
付き合い始めて1週間前後というのは、実はお互いにまだ緊張や小さな不安を抱えている時期です。「本当にこの人でよかったのかな」「これからどうやって関わっていけばいいんだろう」。営業でいう、契約直後に出てくる疑問点や不備と同じようなものが、恋愛にもあります。ここを放置せず、こちらから拾いに行くのがフォローコールの発想です。
「覚えています」の一言が効く理由
フォローコールで一番効くのは、確認そのものより「あの時のことは忘れていません」という一言です。これは、確認作業をこなしているのではなく、あなたのために時間を使っている、というメッセージになります。
恋愛でも、これはそのまま使えます。付き合い始めたばかりの頃に相手が話していた些細なこと、好きな食べ物、苦手なもの、気にしていたこと。それを後から自然に持ち出すだけで、「ちゃんと覚えていてくれた」という特別感につながります。特別なプレゼントや演出をしなくても、覚えていることを言葉にするだけで伝わるものがあります。
Before / After
Before:付き合ってしばらく経ってから、何となく「最近どう?」とだけ聞く。相手も当たり障りのない返事で終わる。
After:付き合い始めて数日〜1週間のうちに、「前に言ってた〇〇の件、その後どうなった?」と具体的な話題で連絡する。相手は自分の話をちゃんと覚えていてくれたと感じる。
疑問点・不安を、こちらから拾いに行く
フォローコールのもう一つの役割は、相手が言い出せずにいる疑問点や不安を、こちらから拾いに行くことです。お客様は、契約後に「聞いてもいいのかな」と思うようなことでも、こちらから聞かれれば話してくれます。
恋愛でも、付き合い始めの相手は、聞きたいことがあっても遠慮して言い出せないことがあります。「これって普通なのかな」「このペースでいいのかな」。それを相手が言い出すのを待つのではなく、「何か気になることない?」とこちらから聞きにいく。この一手間があるかどうかで、関係の始まり方がずいぶん変わります。
Before / After
Before:相手が何か引っかかっていそうでも、特に聞かずにそのままにしておく。相手は聞けないまま、小さな不安を抱え続ける。
After:「何か気になってることない?」と、こちらから一言聞く。相手が抱えていた小さな引っかかりがその場で解消される。
聞き方も、尋問のようにならないよう気をつけたいところです。フォローコールも「何か問題ありませんか」と事務的に聞くより、「その後どうですか、気になってて」という一言の方が伝わり方が違います。恋愛でも同じで、詰め寄るような聞き方ではなく、気にかけているから聞いている、という温度感が伝わる言葉を選ぶことが大事です。
「不備の解消」を恋愛に置き換えると
フォローコールでもう一つ大事な役割が、不備の解消です。契約書の記載ミス、説明が足りなかった部分、お客様が誤解していた条件。放っておけば後々のクレームになりかねないことを、1週間以内という早い段階でこちらから拾って、その場で解消しておきます。
恋愛にも、同じような「小さな不備」があります。付き合い始めの頃に、ちょっとした言葉のすれ違いや、小さな引っかかりが残ることは珍しくありません。デート中に言われた一言が地味に気になっている、最初のやり取りで誤解が生まれたまま流れてしまった。こうした小さな不備は、時間が経つほど本人の中で大きくなっていきます。早い段階で「あの時のあれ、実はこういう意味だったんだ」と拾いに行くことで、後々の大きなすれ違いを防げます。営業のクレーム対応と同じで、小さいうちに拾えば拾うほど、解消は簡単です。
Before / After
Before:デート中に相手が少し引っかかるような顔をしていたが、そのまま流してしまう。数週間後、実は根に持たれていたことが判明する。
After:「あの時、ちょっと変な空気になったけど大丈夫だった?」と、数日後にこちらから確認する。誤解がその場で解消され、関係にしこりが残らない。
「見込み客育成」とは、役割が違います
このサイトでは以前、「恋活は見込み客育成に似ている」という記事を書きました。あちらは、まだ関係が始まる前、相手にじっくり向き合ってもらうための段階の話です。今回のフォローコールは、それとは役割が違います。関係が始まった”後”、契約が取れた”後”の話です。
営業の世界でも、見込み客育成とフォローは別の担当フェーズとして扱われることがあります。見込み客育成は「まだ決めていない相手に向き合う技術」、フォローは「決めてくれた相手を大事にする技術」です。恋愛でも、この2つを混同しないことが大事です。付き合う前と後とでは、意識すべきことが変わります。
見込み客育成の段階では、相手にまだ結論を求めず、じっくり距離を縮めていくことが中心でした。フォローの段階では逆に、すでに結論(交際)は出ています。ここで必要なのは、相手を口説く言葉ではなく、決めてくれたことへの感謝と、決めた後の不安を取り除く具体的な行動です。同じ「相手を大事にする」でも、段階によってやることの中身は変わります。
やりすぎは禁物。あとは相手次第
ただし、フォローコールは何度もかければいいというものではありません。連絡しすぎるのは、かえって良くないと思っています。大事なのは、契約後1週間以内に、最低でも一度は必ず連絡すること。そこから先、連絡を続けるかどうかは、お客様の反応次第です。
恋愛でも同じです。付き合い始めの最初の1週間で、一度きちんと相手の様子を確認する。そこから先、どのくらいの頻度で連絡を取り合うかは、相手のペースに合わせていくものです。フォローコールの発想は「最初の一手間を欠かさない」ことであって、「常に連絡し続けること」ではありません。
なぜ、多くの人がここを飛ばしてしまうのか
営業でも、新規のお客様を追いかけることに一番エネルギーを使いがちです。契約が取れた瞬間、頭は次の見込み客に向いてしまい、既存のお客様へのフォローは後回しになる。これは自然な流れですが、フォローを怠った既存客ほど、後になって離れていきます。新規を追いかけることと、既存を大事にすることは、本来どちらも欠かせません。
恋愛でも、同じことが起きます。付き合うまでは必死に相手のことを考え、連絡のタイミングや言葉選びに気を配るのに、いざ付き合い始めると気が緩んでしまう人がいます。「もう捕まえたから大丈夫」という気持ちが、一番関係を弱くします。営業でいう新規獲得の熱量を、そのまま契約後のフォローにも向けられるかどうかが、長く続く関係を作れるかどうかの分かれ目です。
特別感は、お金ではなく手間で作る
フォローコールにかかるコストは、ほとんど電話代と時間だけです。高価なプレゼントも、特別な演出も必要ありません。それでもお客様に特別感が伝わるのは、手間をかけているという事実そのものが伝わるからです。契約直後という、忙しい中でわざわざ時間を作って連絡してきた、という行為自体に意味があります。
恋愛でも、これは同じです。特別感を出そうとして、高いプレゼントや大きなサプライズを考える人がいますが、付き合い始めの段階で本当に効くのは、そういうものではありません。相手が話していたことを覚えていて、それを踏まえて連絡する。この手間のかけ方の方が、物やお金よりもずっと伝わります。営業でも恋愛でも、特別感の正体はお金ではなく、時間と記憶です。
勘違いしないでほしいこと
ここまでの話を、「マメに連絡すればするほどいい」という意味だと勘違いしないでください。以前の記事で、前の彼と比較されて連絡の頻度で張り合う必要はない、と書きましたが、それと矛盾する話ではありません。フォローの中身は、頻度ではなく、具体性です。「元気?」だけの連絡を何度重ねても、特別感にはつながりません。相手が話していた具体的な内容を覚えていて、それを言葉にして返すことに意味があります。
また、フォローは形式的な義務としてやるものでもありません。営業でも、フォローコールを台本通りにこなしているだけでは、お客様には伝わりません。恋愛でも同じで、本当に相手のことを気にかけているから連絡する、という中身が伴っていて初めて特別感になります。
よくある疑問
付き合ってから1週間以上経ってしまいました。もう手遅れですか。
手遅れということはありません。1週間はあくまで目安です。大事なのは、これから先、相手の話していたことを覚えている・気にかけているという姿勢を持ち続けることです。今からでも「前に言ってた〇〇の件」と話題にすれば、同じ効果は十分に期待できます。
フォローしすぎて、重いと思われないか心配です。
連絡の頻度ではなく、中身を見直してみてください。毎日連絡すること自体が重いのではなく、中身の伴わない連絡を重ねることが、相手の負担になります。最低限、最初の1週間に一度、具体的な話題で連絡できていれば十分です。そこから先は、相手の反応を見ながらペースを合わせていけば大丈夫です。
相手からは特に不安そうな様子がありません。それでも連絡した方がいいですか。
不安そうに見えなくても、聞いてみると初めて出てくる引っかかりはよくあります。営業のお客様も、こちらから聞かなければ、不備があっても黙っていることが珍しくありません。様子が見えないからこそ、こちらから一度確認しておく価値があります。
フォローコールの発想は、付き合い始めの時期以外にも使えますか。
使えます。最初の1週間に限らず、記念日や、何か大きな出来事があった後など、節目のたびに同じ発想を使えます。大事なのは頻度を増やすことではなく、節目のタイミングで、相手の話していたことを覚えていると伝えることです。
1週間という数字にこだわる必要はありますか。
1週間はあくまで目安です。大事なのは、契約直後・交際直後という、相手の気持ちがまだ固まりきっていない早い段階で、一度きちんと向き合う機会を作ることです。3日でも10日でも、早めに一度、というタイミング感が本質です。
まとめ
営業は契約が取れたら終わりではなく、恋愛も付き合えたら終わりではありません。付き合い始めて1週間以内に、一度は相手の様子を具体的に確認する。話していた内容を覚えていることを言葉にする。そこから先は連絡しすぎず、相手のペースに合わせる。この一手間があるかどうかで、関係の始まり方がずいぶん変わってきます。
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